先日上司と話していて・・・
(上)「そういや、梶原一騎って知ってる?」
(私)「誰です、それ?」
(上)「えー知らない?明日のジョーとか侍ジャイアンツとか、まぁ言ってみればスポーツ漫画の原作者だよ。それじゃあその娘さんの事件も聞いたことない?」
話はこんな何気ない一言から始まった。
(私)「知らないですよー、なんですか、それ?(毎日りんごチェック&犯罪オタクとしてはちょっと聞き捨てなりません)どんな事件なんですか?」
(上)「台湾にいるなら、これは知っておいた方がいいだろうな。帰って色々調べてみるといいよ。かなり凄惨な事件だけど・・・でも台湾人ならみんな知ってるし、知っておく必要があると思う。日本も全く関係ないってわけじゃないし。」
上司が話してくれた事は、白冰冰という台湾の国民なら誰もが知ってる女優と、先述した梶原一騎の間には1人の娘さんがいたのだそうだ。彼女の名前は白暁燕。しかし彼女が小さい頃に両親は離婚し、白冰冰が娘を引き取り、母娘は台湾で暮らしていた。その娘さんの誘拐事件だという。
白冰冰って誰?という感じだったが、帰ってネットで見て「あー見た事ある!」という女優さん。テレビにも結構出ている人だから、こっちに住んでいる日本人なら知ってる人は結構多いと思われる。
さっそく帰ってから、上司の言っていた事件の内容を調べてみた。
・・・・そして衝撃を受けた。
誘拐殺人事件、日本でもこれまで何度も何件も起きている。だけど、私はここまで被害者を凄惨な方法で死に至らしめた事件を他に知らない・・・・・・。
内容がかなり凄惨なので・・・そっち系がダメな人は読まない方が良いと思います。。事件等にある程度免疫のある流石の私も、これには本気でショックでした。
下記はウィキペディアより引用です。
1997年4月14日、私立醒吾高級中学2年に在学中の暁燕は、通学途中に誘拐された。犯人グループは、直後から輪姦・暴行を加えるとともに、左手小指を切断した。さらに、母冰冰の元に暁燕の半裸の写真と、彼女の切断された小指を送りつけ、500万アメリカ合衆国ドルの身代金を要求した。冰冰はなんとか身代金全額は揃えたが、行政院長連戦の差し金で警察からマスコミに情報が漏れ、中華日報と大成報が報道したため、引き渡し現場に記者が殺到する事態となり、犯人グループは身代金受け取りを断念する。現金が渡れば家に帰れると信じていた暁燕は、戻ってきたグループの一味から身代金受け渡しの失敗を聞いて泣き叫んだが、激昂した犯人グループは、腹いせにさらに凄惨な輪姦・集団暴行を加えて暁燕を惨殺し、遺体の手足を角材で縛ったうえ、重しをつけて台北近郊のドブ川に遺棄した。
4月25日に犯人グループのアジトを急襲し4人が逮捕されたが、3人の主犯格(林春生・高天民・陳進興)を捕り逃がしてしまった。
4月28日、暁燕の原形を止めぬほどにボロボロになった無残な全裸の遺体が発見された。発見者は、最初はブタの死骸と思ったという。直接の死因は窒息だったが、暴行による打撲で肝臓が破裂しており、その内出血で腹腔は大きく膨張し、肋骨もほとんど折れており、両手両足の爪も全て剥がされていた。顔も髪の毛はまばらにされ、両目はえぐり取られ、舌は引き伸ばされ、両耳の鼓膜は爆竹で破られ、前歯は上下三本しか残っていなかった。報告書に「処女膜断裂」とあるように激しい強姦の痕跡も歴然としており、あまつさえ膣と肛門に鉄パイプが2本突き刺され、子宮内には釘が48本も打たれていた。長年にわたり多くの死体を検分した検視係官が「これほど凄惨な遺体を目にしたことはない」と衝撃をうけるほどだった。さらに、遺体発見時の写真を一部のメディアが掲載したため、マスコミへの批判が高まり、白母娘の住んでいた家の付近に、周辺の住民が「記者有罪」と書いた抗議の垂れ幕を下げた。
暁燕の葬儀では、顔にかつらと生前の顔を模した面を着けて納棺された。
被害者の白暁燕。女優としても時々テレビに出ていたんだとか。
ちなみにこの事件の主犯は以下の3人
高天民、林春生、陳進興
ちなみに高天民はこの年の8月、警察との銃撃戦の末、2人の警官を殺傷し、自殺。この殉職した警官には妊娠した許嫁がいたのだそうです・・・。(つい先日、何の因果かテレビで特集が組まれてて驚きました)
高天民
10月、残る林と陳は台北市内の方保芳病院で、無理やり顔の整形手術をさせ、医師夫妻と女性看護師を、それぞれピストルで頭を打ち抜いて殺害し(看護師は殺害される前に強姦されていた)逃亡。(犯人とバレた為、口封じだったと思われる)
事件のあった病院
11月17日、林は再度警察と銃撃戦を繰り広げ、自殺。
11月18日、残った陳は人質を取り、立て篭もるが、翌日投降し逮捕された。(1998年銃殺刑にて死刑執行)
以上が事件の概要です。こいつらマジでやりたい放題・・・・・・・
しかしこれ、なぜ彼女がこんなひどい殺され方をしなきゃならなかったのか。。もちろんメディアの過剰報道のせい、というのが通説らしい。
先輩から新聞には載ってないいろんな話を聞く事が出来た。
「犯人グループは事件を警察やメディアに知らせるなって言ってたの。でもメディアがかぎつけて大きく報道してしまったのよ。だから犯人側が激昂したの。お金の受け渡しに失敗してお金も手に入れられなかったわけだから。その「よくも通報しやがったな!!」という怒りを可哀想に、娘さんに向けたのね。でもお母さんの白冰冰は警察には知らせていたものの、メディアには公表してなかったのよ。だから私たちが事件を知ったのは娘さんが誘拐されて1週間も後だったのよ。皮肉にもその報道のせいで、殺される事になってしまったわけだけど。。。やりきれないわよね。だから彼女がメディアに対して“あなたたちは私を助けたいの?!傷つけたいの?!と叫んでいたのをよく覚えてる”」
(私)りんご(日報)とかやっぱり大きく報道したんですよね?
「全ての新聞が大きく報道してたし、ニュースもその事件で持ち切りだったわ。」
(私)ヘンな話ですけど。。。遺体の写真が新聞に載ったって本当ですか?
「うん、私も見たよ。でも彼女の遺体はものすごい暴行をうけて、しかもドブ河に遺棄されて、数日後発見されたの。だから本当にどこがどういう状態か分からないようなひどい状態だったよ。すごく可哀想だった。遺体が見つかるまで、台湾人はみんなどうか無事で帰ってくるといいねって話しあったりしていたものよ。みんな本当に心配していたし、そう願っていたけど、とても残念な結果になってしまって。」
(私)その当時、台湾の人が受けた衝撃はすごかったでしょうね。
「学校にはみんな親が子供を送り迎えしていたし、みんな早く家に帰るようにしていたわね。あの時期はクラブやバーの売り上げがすごく落ちたそうよ。それはそうよね、犯人が捕まってなかったから、犯人が本当にどういう目的で事件を起こしたのかはっきり分からなくて、みんな怖くてたまらなかったのよ。」
(私)台湾人はみんなこの事件知ってるんですか?
「子供なら知らないだろうけど、それ以外で知らない人はいないはずよ。台湾の最大事件の1つだからね」
事件が起きたのは十数年前。暁燕さんがまだ生きていたら、私とほぼ同じ年齢だったわけだから、この事件が起きた際、私は大学生だったし、その頃からすでに犯罪とかに興味を持っていたんだけど、この事件が日本で報道された記憶が全くないんだよなー。
ドライバーの楊さんにも聞いてみると「当然知っているよ!久しぶりに思い出したよ!」と言っていろいろ話してくれた。
楊さん曰く「彼女のお父さんだか、お母さんへの金に関する怨み」という説もある、と言っていた。
「犯人グループってマフィアか何かなんですか?」と聞くと「あいつらはマフィアじゃないよ。ただの大悪党というか、頭がイカれた悪人だ」と言っていた。
当時を知っている先輩や楊さんのおかげで、色々な話を聞く事ができた。しかしこんな大事件を知らなかったとは。
事件の内容はもちろん、すべて自分の住んでいる都市、台北で起こったことだということもやっぱり衝撃でした。そして時折テレビで見かける白冰冰の明るい笑顔の裏に、そんな悲しい過去があったということも。(事件の後、娘の名の基金会を作ったり、手記も出しているようです)
あと最後に1つ、ちょっと怪談話チックなこぼれ話をひとつ。
死刑囚となった主犯の3人のうちの陳ですが、刑務所内で(死刑直前?)「白暁燕(被害者の名前)が来た!白暁燕が来た!!」と騒いでいたという話を聞いた。彼にだけは見えていたのだろうか。。それとも自分の犯した罪への思いが、彼に白暁燕の幻影を見せていたのだろうか。
陳進興
犯人もこの世にいない今、知るすべもありませんが。。。。
ちなみに先日、これまた何の因果かテレビで主犯の1人、陳の特集が組まれており、家族は今名前を変えてアメリカで暮らしているんだと言っていたが、妻子がおった事に驚いた。自分の子供がいながら。。。どうしてこんな惨い真似が出来たのか理解に苦しむよ。
(その後・・・)2011年2月12日追加分
1ヶ月ほど前か。この事件の事で、お母さんの冰冰さんがインタビューに答えていた。娘が生前大好きだったというぬいぐるみを今でも大事にしているんだそうだ。(おさるのジョージのだったかな)いつもの底抜けに明るい彼女の笑顔とは裏腹に、その時の笑顔はとても寂しく見えて、切なくなった。
ちょうど私がこの事件を知った時期、なんの偶然かやたらとテレビをつけると、この特集にぶち当たる事があって、何だか不思議な気がしたなぁ。事件が起こった日に近かったわけでもなし、うーん。
(その後・・・②)2012年12月29日追加分
「白暁燕事件」のワードでこのブログを訪れる人がかなり多くて、正直ものすごく驚いています。。。
最近youtubeでこの事件をまとめたものを見つけましたので、付け加えておきます。
短いながらも、かなりまとまってます。楊日松先生もチラッと出てきます。(※楊日松医師については別の記事でも書きましたがこの事件を担当した台湾人なら知らない人はいないくらい有名な法医学の先生です。その他の江子翠のバラバラ殺人事件、井口真理子事件など、たくさんの有名事件の解剖を担当なさっています。)
(その後・・・③)2015年1月3日追加分
「白暁燕 遺体」というワードで検索される方も多いようです。以前はネットで調べてもほぼ出てきませんでしたが、最近(2015年1月現在)は結構出回っているようです…。私も見ましたが・・・ここでは敢えて載せません…。
また、林と陳が整形手術をさせた後、医師とその妻、看護師を殺害した病院は、今はその医師の息子さんの希望により、仏教図書館となっています。
実は・・・この事件のあった道の名前を聞いた時から、「もしかしたら現場は今私が住んでいる所からさほど離れていないのでは・・・」と思っていたら・・・見事に当たっていた。そこは私はよく通る場所で、その1階にあるお店は結構行っている。
まさかよく行くお店の階上がその事件の現場だとは夢にも思っていなかったので、大変驚いてしまった。
(その後・・・④)2015年8月31日追加分)
本日りんご日報のHPを見て、びっくり。何と白暁燕さんの殺害現場となった、新北市の五股にある家が売りに出されているという。
その売値は958万台湾ドル。日本円でおよそ三千五百万円ほどか。
しかも記事には、当時の現場検証に立ち会った警察の証言『左側の浴室の手洗い用の桶には手錠が置かれていた』だの『床の上には血の痕が点々と。。』等という証言まで書かれてあり、誰がこんな家を好き好んで買うんだ?と思ったら、約2ヶ月で20組以上の人が見学に来たようである。
『たとえ200万台湾ドルでも買わないわ』
『馬鹿しか買わないだろ、しかもこんな値段』
ネットのコメント欄には、大体こんなコメントが並んでいます。
ちなみにその家の写真は以下の通り。写真はりんご日報よりお借りしました)
主犯の3人。
最近のコメント