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ぺそぎん時計

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台湾での出産と入院生活のこと(1日目)

7月5日 

 
 
 
この日の明け方にお腹の痛みで目が覚める。とはいえ我慢できない程の痛みではなく、生理痛に似た痛み。それが数分おきにくる。 
この日までおしるしも無かったし、『まー臨月だし、前駆陣痛かな~』くらいに考えていた。 
いつも通り旦那のお弁当も用意し、送り出してトイレに行くと、何とおしるしが!!とはいえ、おしるしって、きたあとにすぐ陣痛が来る人もいれば、数日後に来る人もいるっていうしなぁ。でもやっぱりまだ微妙にくる腹痛が気になる。とりあえず、旦那に『おしるしが来て少し腹痛があるけど・・しばらく様子見る』とLINEすると、すぐに電話がかかってきた。『だめだよー、念のために病院に行って。母さんが付き添ってくれるから』。ということで義母が病院に付き添ってくれることになった。 
 
 
数十分後、義母がタクシーでマンションの入り口まで迎えに来てくれた。そのままタクシーで病院へ向かう途中、車内で『昨日行天宮で安産のお参りしたついでにお寺で汲んできた水だから。飲みなさい』とペットボトルに入った水を渡される。おお、わざわざ有難いと口に運ぶと・・・・ 
 
 
 
むぅ・・・臭い・・・・ 
 
 
 
 
 
なんていうかペットボトルがちゃんと洗いきれてないのだ。おそらく何か脂っこい料理食べたあとに、何かこのペットボトルを使って飲んだよね?口をつけた瞬間、ものすごく脂っこい味が口の中に広がり、よく見ればペットボトルの口の所に白い湯垢?のような物がたくさんついているではないか。 
 
こう言ってはなんだが、義実家では洗い物がすごく適当だ。旧正月の度に手伝っているからよくわかるのだが、『これまだ油でヌルヌルしてるって!ちゃんと洗わないと!』と言っても、大丈夫大丈夫と言って終わらせてしまう事もしばしばだった。そのたびに、いや、全然大丈夫じゃねーわ・・・と毎回思うのだ。
 
 
 
 
 
・・・・とりあえず・・・一口は頂いたから・・・もう・・・いいよね・・・・ 
 
 
 
 
あ、ありがとう。今はお腹が痛いから一口だけ頂いておく』とお礼を言う。  
 
しかし何でこんな時まで美しい話で終わらないんだ・・・『この時の水がすごく美味しかった。お義母さんの愛と神のパワーを感じた』なんて話だったら素敵なお話で終わるのに。私の人生はいつもどこかズレた事が起こってしまうな。こんな時まで・・・フフ・・。 
 
 
 
 
おっと話がそれた。 
 
 
 
 
そうこうしている内に、病院に到着。私はこの時まで普通に前駆陣痛だろうと信じていたし、まぁすぐ帰れるだろうと思っていたのだが、到着して色々な検査のあと、このまま入院という事になってしまった。『冷蔵庫にまだ食べかけの杏仁豆腐があるのに・・・・』という事を真っ先に思った私は、こんな時でも食い意地が張っているのだな・・・・と自分の事ながら、少々情けなくなった。 
 
まぁ入院の準備は家にすでにしているし、あのバッグ旦那に持ってきて貰わなきゃなーくらいに軽く考えていた。まさかこの日に出産になろうとは夢にも思わなかった。それくらい全然我慢できる痛みだったのだ。 
 
 
そのあと手術着に着替え、手術室へ。私は無痛分娩で産む予定だったので、早速その麻酔をすることになった。無痛分娩の麻酔は硬膜外麻酔で、背中に注射するのだが、これがなかなか痛かったなぁその注射のあとは副作用らしいのだが、体中の震えが止まらなくなり、びっくりしたなぁ。まぁそんなわけで無痛の注射もできたし良かった~と軽く考えていたら、脈拍を測っていた機械からピコーンピコーンと穏やかじゃない警告音のような音がしだし、手術室の看護師さんや麻酔医師の方の様子がにわかにあわただしくなりました。 
 
 
『?!?!?!?』と思っていたら、一人の看護師さんが私にこう告げた。 
 
 
 
赤ちゃんの脈拍が安定してないわ。経験上何かしらの原因で赤ちゃんの心臓に負担がかかっている可能性があるわ。できるなら帝王切開の方が良いかもしれない。でも今の時点ではどちらとも言えないのだけど・・・』 
 
 
このまま産んだら、赤ちゃんは危険なんですか?どうして脈拍が安定しないんですか?』 
 
 
まず子宮口もぜんぜん開いてないのに、子宮が収縮し始めているわ。そうなると赤ちゃんを圧迫する危険が出てくるの。どういう状況か詳しくはこればかりは開けてみないと本当に原因は分からないのだけど・・・』  
 
赤ちゃんが一番安全な方法が帝王切開なら、それで構わないです!絶対自然分娩とこだわっているわけではないですし、一番安全な方法をとってください。お願いします!!』 
 
わかったわ。じゃ外にいるお姑さんに旦那さんに至急来てもらうよう連絡するよう言ってくるからね』  
 
 
なんでも帝王切開は、夫婦のサインが無いと勝手に手術することはできないのだそう。義母から電話を受けた旦那は、丁度午前中の最後の仕事を片付けている時だったようで『次で最後だから、それ配達したら行くね』と告げると、義母に『何を言っているの!急を要す状態なのよ。早く来なさい!』と言われた旦那はまさかそんな状況になっているとは思ってなかった為びっくりしたそうで、すぐに病院に駆けつけてくれました。 
 
手術室でうとうとしていると、ふいに頭を撫でられる感触があり、目を開けると旦那がいました。旦那の顔を見たとたん、それまで堪えていた不安?緊張?の糸が切れたようで、涙が止まりませんでした。旦那は涙を拭いてくれながら『心配しなくていいから。大丈夫だからね』と声をかけてくれました。 
 
通常帝王切開は部分麻酔をし、赤ちゃんを取り出した後に全身麻酔という流れになるらしいのですが、私は無痛の注射をしていたからなのか、通常と方法が違ったらしく、最初から全身麻酔でしたので、赤ちゃんが生まれる所などは一切見れずでした。苦笑 
 
なので麻酔のあと数分間だけ目が覚めて、朦朧とする頭の中で唯一覚えているのは、看護師さんに『赤ちゃんはどこですか?無事ですか?』と聞いたことと、旦那が『お疲れ様』と声をかけてくれたこと、看護師さんが『赤ちゃんですよ~』と顔の横に赤ちゃんを連れてきてくれた事です。赤ちゃんが元気という言葉を聞いて、そのあと安心したせいか、すぐにまた意識がなくなってしまい、目覚めたのは夕方ころでした。(出産したのは午後2時頃でした) 
 
 
 
この日の夜は傷の痛さと微熱もさることながら、麻酔の副作用で全身、頭のてっぺんから足の先までかゆくてたまらなかった事が一番辛かったです。とにかく暇があれば全身掻き毟っていました。 
 
 
あともうひとつ、精神的に辛かったのは私は2人部屋だったんだけど、 
 
 
 
 
同室の人のいびきが、尋常じゃないくらい大きくて全然眠れなかったこと  
 
 
 
 
 
でも自然現象だから、文句も言えないしね。汗
 
 
 
 
ちなみに入院中、毎日ずっと付き添ってくれていた旦那も、そのせいで寝不足になってしまっていたそうです。苦笑 
 
 
 
 
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